EXIBITION AND CONCEPT  展覧会と作品コンセプト
  YANAKA BOSSA ECHO OF FOREST SPIRITS vol.1

 

 

 

 

 

 

 

木霊 vol.1

喫茶 谷中ボッサ(東京・谷中)

2007年4月11日(水)〜23日(月)

 

4月21日(土)特別企画カフェライブ
ロマ風オリエンタル音楽〈アラディーン・トリオ〉
(松尾賢、及川景子、平井ペタシ陽一)

 

 

 

谷中ボッサでの個展を終えて

   

遅ればせながら、今年春に開催した喫茶 谷中ボッサでの個展の報告を致します。
今回は谷中の古建築を喫茶店にリノベーションした場所です。名前の通り、ここでかける音楽はボサノヴァが主で、なかなか落ち着いた雰囲気の中での展示でした。

小品が15点、少し大きめの作品が3点、窮屈なアトリエから開放されてやっと気持ちよく白い壁に収まりました。
特に小品は軽い木板ですので、展示用のつるっとしたフックにゆらゆらとぶら下がる形でとりつけました。しかしこれがかえって見る人にやすらぎを与える効果をもたらしました!木板に彫刻刀の彫りを入れることで、面や線が鋭く前に引き出され、画面をぐっと引き立たせてくれる役目を果たし、なおかつ木の繊細な表情も現れました。
今回キャンバスから木板に彫刻刀で彫りおこす形に変え、ペイントも油彩からアクリルに転向した新作発表でしたので、どう評価されるのか不安でした。しかしこのお店にピッタリですね、良くなったね、作品が明るくなったね、との声があがり、胸をなで下ろしました。

それから期間中に、私の初企画で知りあいの松尾賢さんが率いるアラディーン・トリオにライブをお願いしました!このアラディーンは、日本に数少ないアラブ音楽を主に取り組む実力あるバンドです。以前、民族楽器を演奏したいと思い、ダラブッカというエジプト太鼓の指導を賢さんに受けていました。その縁でライブが実現した次第です。しかしこのときの週末はどこも春のイベントが集中し、集客がどうなるかとまた新たな不安が生じました。それでも当日まで諦めずにボッサのスタッフの方やアラディーンのメンバーのご協力の下、各自で宣伝し、これも結果的にはたくさんの方にいらしてくださりました。そして素晴らしい演奏で個展に花を添えていただきました!

またこちらは喫茶店ですのでいつもの画廊とはいらっしゃる客層が違う点が面白かったですね。
飲食目的の方と作品目的の方、また両方の方の3種類の客層、そこから新しい出会いもあり大いに楽しませてもらいました。

個展のテーマ『木霊』のように、喫茶、会話、音楽、そしてアートが響き合い、ゆったりとした時間をお客様に提供できたのではないかと思っております。
今回の展覧会ではそれまでの見せ方から一歩踏み出せたと確信しました。


2007.9.4 坂内

 
 
 
  concept of art work
坂内美和子展 ― 木霊 vol.1 ―
―生命の息吹を彫り起こす


 ここ1年ほど木に魅せられてきました。木という素材は古来日本では建築や家具などに使われてきました。世代を越えて長い間、人とともに生きていく。今後我々が目標とすべき「持続可能な社会」を考える際に、もっと注目して良い存在です。
 一方で素材としてだけでなく、生きている樹木という形での美しさにも強く心を惹かれます。朽ちていくはかなさ、そしてこの春の季節に芽吹く新芽からこぼれる生命の誕生の喜びと初々しさ。木が見せるさまざまな形は、生命の豊穣さそのものです。
 この素材と向き合ったとき、どのような表現で取り組んだらいいのか。さまざまな試行錯誤を経て、今回のような表現に落ち着きました。
 テーマは「― 木霊 ―」。
 支持体に木版画用のシナベニヤの合板や木製パネルを用い、アクリルでペインティングしたところを彫刻刀で彫り、小枝をコラージュしました。ところどころパステルも使用しています。たとえば、木の朽ちていくはかなさを彫刻刀でくずれた四角や丸い形に時を刻むかのように表現し、生命の誕生の喜びをアクリルやパステルで伸びやかに表しています。作品によっては、それらが逆転しているものもあります。彫刻刀で彫り上げた“ストローク”はふたつの関係性をつなげる役目を果たします。
 今回、この表現を初めて発表する場として、谷中ボッサを選びました。築100年の古民家をリノベーションしたスペースは、私の想像力を限りなく駆り立てました。谷中は古い町であり、喫茶・会話・音楽・美術がゆったりとクロスオーバーする。本来、アートとはそのような場所にあってこそ生きるのではないでしょうか。今、そんな思いを抱いています。


坂内美和子

 

 

    

 

 


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