谷中ボッサでの個展を終えて
遅ればせながら、今年春に開催した喫茶 谷中ボッサでの個展の報告を致します。
今回は谷中の古建築を喫茶店にリノベーションした場所です。名前の通り、ここでかける音楽はボサノヴァが主で、なかなか落ち着いた雰囲気の中での展示でした。
小品が15点、少し大きめの作品が3点、窮屈なアトリエから開放されてやっと気持ちよく白い壁に収まりました。
特に小品は軽い木板ですので、展示用のつるっとしたフックにゆらゆらとぶら下がる形でとりつけました。しかしこれがかえって見る人にやすらぎを与える効果をもたらしました!木板に彫刻刀の彫りを入れることで、面や線が鋭く前に引き出され、画面をぐっと引き立たせてくれる役目を果たし、なおかつ木の繊細な表情も現れました。
今回キャンバスから木板に彫刻刀で彫りおこす形に変え、ペイントも油彩からアクリルに転向した新作発表でしたので、どう評価されるのか不安でした。しかしこのお店にピッタリですね、良くなったね、作品が明るくなったね、との声があがり、胸をなで下ろしました。
それから期間中に、私の初企画で知りあいの松尾賢さんが率いるアラディーン・トリオにライブをお願いしました!このアラディーンは、日本に数少ないアラブ音楽を主に取り組む実力あるバンドです。以前、民族楽器を演奏したいと思い、ダラブッカというエジプト太鼓の指導を賢さんに受けていました。その縁でライブが実現した次第です。しかしこのときの週末はどこも春のイベントが集中し、集客がどうなるかとまた新たな不安が生じました。それでも当日まで諦めずにボッサのスタッフの方やアラディーンのメンバーのご協力の下、各自で宣伝し、これも結果的にはたくさんの方にいらしてくださりました。そして素晴らしい演奏で個展に花を添えていただきました!
またこちらは喫茶店ですのでいつもの画廊とはいらっしゃる客層が違う点が面白かったですね。
飲食目的の方と作品目的の方、また両方の方の3種類の客層、そこから新しい出会いもあり大いに楽しませてもらいました。
個展のテーマ『木霊』のように、喫茶、会話、音楽、そしてアートが響き合い、ゆったりとした時間をお客様に提供できたのではないかと思っております。
今回の展覧会ではそれまでの見せ方から一歩踏み出せたと確信しました。
2007.9.4 坂内
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