concept
of art work
坂内美和子展 ―LIFE(生命)―
今回の個展によせて
ここ数年、私が気にかかること―。大気のゆらめきや温度の変化によって引き起こされるさまざまな自然現象、あるいはどっしりとした大木や身近でささやかな自己主張をしている小さな植物たち、深い色をたたえている山、様々な音の源である川。こうしたものから与えられたインスピレーションと、自分自身の中から湧き出てくるさまざまな感情を組みあわせて、一つのキャンバスの中に絵画世界を作り出すことを試みている。
こうしてできあがった作品を今振り返ってみると、私が表現したいものは改めて“生命”であり“自然”であると気づいた。
数年前もこれをテーマにして発表したことがある。その時はアクリルを用いて様々なかたちを生み出し、それまでとは違った画風ができあがった。
それからさらに創作を推し進め、今まで使わなかった色も幾つか取り入れて久しぶりの大作に挑んだ。今回は心境の変化もあり、一時嫌っていた油彩に再び戻った。油彩独自の深い色合いは新たな作風となって私の前に現れた。
作品によっては砂を混入させたものもあり、単なる厚塗りではない、質感の微細な変化にもこだわってみた。またフォルムの組み合わせと筆触の使い分けで、力強さとしなやかさといったものも表してみた。
こうして絵に現れたものは、自分の中に抱く“生命”や“自然”であるかもしれない。
2003年11月 坂内美和子
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